ユニバーサルとサミーが遊技機共同生産のための新会社を設立。カジノ事業は?
セガサミー傘下で遊技機最大手のサミーとユニバーサルが折半出資で新会社ジーグを設立した。ジーグは遊技機を設計、生産してサミーとユニバーサルに販売する。両社は仕入れた遊技機に組み込むアニメや漫画などのコンテンツで差異化を図る。
製造業では競合と生産能力を融通するOEM(相手先ブランドによる生産)や部品の共同配送が広がるが、製品の設計を統一して共同生産する取り組みは珍しい。両社は新製品を順次、共同生産品に切り替える方針。製品あたりの生産台数が増えればコストが下がり、最新技術を導入した新製品が作りやすくなる。(日経新聞)
久々にポジティブニュースが出ました。ユニバーサルとサミーがパチンコ、パチスロ遊技機を共同生産するための新会社を設立しました。
既に両社とも公式HPにIRがリリースされています。
共通部材によるコスト削減
新会社の設立によって共通部材によるコスト削減が実現するようです。
これはユニバーサルの2014年の株主総会でも「2013年からパチスロ機の構造部材を共通化することでロスを減らし利益率を増やしている」と言われており社内での最適化が行われています。
そして今回、更に一歩進んだ最適化が行われたわけです。
部材共通化によってどの程度コスト削減が見込まれるか厳密な数字ではわかりません。
しかし、共通化前には利用価値のないパチンコの19インチ型液晶の償却により約30億円の損失を計上しています。
このようにユニバーサルだけで数十億円単位のメリットがあるわけです。
短納期での製造が可能?
既存の遊技機製造工場では一日に製造できる遊技機の台数が決まっています。
更にサミーでいえば北斗、ユニバーサルでいえばゴッドのようにメーカーごとに大型案件があり、これをすべて製造するにはかなりの日数がかかります。
そして各メーカーの大型案件は概ねリリース時期を丸かぶりしないようにしています。
(同じ日に北斗、ゴッド、番長がリリースされるなんてことはありませんよね)
つまり各社工場の繁忙期が少しだけ違うわけですね。その繁忙期見合で両社の工場をフルで利用できるとすれば短納期での製造が可能です。
昨今の遊技機の頻繁なルール改正で急いで検定を通す、短期間で開発する等、短納期での製造需要はかなり高いと思われます。
しかし、このような生産体制を実現できるのかは現時点では不明です。(実現させようとしているかも不明です。)
カジノ事業での協業にも期待が持てる
今回一番期待しているのは将来的なカジノ事業の協業です。
ユニバーサルエンターテインメントとセガサミーで日本カジノ連合の可能性!
1年半年程前、上記記事にて言及したとおりユニバーサルとサミーとの関係悪化が解消されネットコンテンツでのコラボが実現しました。
今回の共同会社は更に一歩も二歩も進んだコラボなわけです。
当時はパチンコはMAX機、パチスロはAT全盛期でマカオをはじめとする世界のカジノ市況もまだまだ過熱していました。
それと比較して現在はパチンコパチスロの規制による落込みや中国カジノバブルの崩壊のダブルパンチで一社だけ独立してなんでもやっていくという方針が揺らいできているのではないでしょうか。
両社ともオーナーの独裁国家のような企業です。これから先そのような方針でどこまで突き進めるか。何が最適か考えたときにユニバーサルとセガサミーがくっつくことは必然だと思います。
2020年以降のアフターオリンピックに向けて日本にカジノ法案が成立するにしても誘致に手を上げている外国企業と比較してみましょう。
外国のカジノ誘致候補企業ラスベガス・サンズは時価総額約4.2兆円、ウィンリゾーツは1.1兆円、メルコ・クラウン・エンターテインメント1兆円となります。
更に現在運用しているカジノ施設も世界最高レベルです。
それに対してセガサミーは時価総額3000億円、ユニバーサルは1500億円。カジノ運用実績はユニバーサルのみ。
日本企業1社が単独で誘致をすると言っても、この圧倒的な差のある企業規模の外国企業に勝てるでしょうか?
数千億円を捻出できるでしょうか?カジノができても誘致企業がすべて外国のカジノ企業となっても不思議ではありません。
日本企業がカジノを作るには今回のようにセガサミーやユニバーサルの規模の会社が連合を作って取り組まねばならないと感じます。
その差さえ埋まれば安倍政権と親密なセガサミー、石原一族と親密なユニバーサルとコネは十分です。
日本の日本企業によるカジノが誕生します。
この話は私は何度もしていますが、それほど私にとっては重要な問題と認識しています。
本件を皮切りに両社が更なるシナジー効果を生む事業を展開してほしいものです。
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